こんにちは、ゴムボくらぶ(@gomubo_club)です
山口県山口市・Yさんよりマーキュリーシープロ2スト・9.8馬力のメンテナンス依頼を頂きました。
製造年月:27年11月
型式:3K9
実は私がいつも一緒に釣りしているボート仲間であるYさんの船外機なのですが、一人乗りだと30km/hぐらい?それ以上?出る快速船外機です。
では見ていきましょう。
インペラ交換
まずはインペラ交換から始めます。
機種によってシフトレバーの連結構造がマチマチなのですが、このシープロ9.8は画像の部分のピンを抜いて連結を外します。
ロアケースの固定ボルトを外すとストンと落ちます。
インペラをバラしていきます。
ついていたインペラ
それほど傷んでいないようですが、3年使っていることを考えると交換時期ですね。
インペラは不具合が出る前に交換するのが基本ですから。
この部分はインペラの下にあたる水路なのですが3年使っているわりには綺麗です。
Nさんは船外機を自宅に持ち帰った後に、かなり時間をかけて念入りに塩抜きをしているらしくその効果が出ているようです。
プレートやガスケットを交換して新しいインペラを組みます。
シフトのOリングも交換しました。
ケースの内部
各ボルトやドライブシャフトのスプラインに耐水グリスを塗って組付けます。
ロアケースの組付けが終わったら最後にシフトの連結をします。
凄く小さいこのピンを変形させないように叩き込みます
このピン、再利用できないこともないようですが交換しました。
キャブレター清掃
キャブレター周り、組付け後にグリスアップします。
正面に見えるのはチョークのバタフライ
この部分は結構汚れが溜まり易いですね。
強力キャブクリーナーでしっかりと清掃します。
インテーク内に見えるはスローポート
こういった穴が詰まるとエンジンの掛かりが悪かったりアイドリングが不調になります。
キャブクリーナーを直接噴射してスロー経路やエアー経路からキャブクリーナーが出るかを確認します。
メインジェット・メインノズル・スロージェット
このゴムキャップを外すと針で突いたような小さな穴が開いています。
こういった穴も徹底的に清掃します。
キャブクリーナーは安値な物からそこそこ高い物までありますが、基本的に価格相応だと思って良いです。
安値な物は洗浄能力が低くキャブクリーナーという名前の中身はパーツクリーナーな商品もあります。
私が使っているYAMAHAのヤマルーブは洗浄能力が高くおすすめです。
キャブクリーナーで清掃したあとはパーツクリナーでキャブクリーナーを洗い流します。
燃料フィルターは清掃できないタイプなので交換しました。
燃料を送り込むダイヤフラムをオーバーホールしておきます。
極薄のゴムがたえずペコペコ動いてますから定期的に交換しておいた方が安全です。
スターターロープ交換
今までついていたやつは新品と比べるとだいぶ細いですね。
元は同じロープだと思うですが使っているうちにキュッと締まったのかな。。。
【悲報】ヘッドカバーが外れない
この型のマーキュリーはヘッドカバーの中にサーモスタットが入っているので、点検するにはヘッドカバーを外す必要があります。
全部でボルト11本で止まっています。
このマーキュリーをメンテネンスするにあたり一番気になっていたことがこのボルトが緩むかということ。
構造上、シリンダーの周りをとりまくように海水が流れておりガスケットに海水がしみ込み、そしてガスケットを伝ってネジ山にも海水が染み込みます。
塩で固着し易いということです。
試しに1本回そうとしてみると完全に塩噛み(大)の感触がありました。
これ、外したら11本のうち半分は折れると思います。
そうなるとシリンダー交換となり部品代と工賃でおおむね10万コースとなりますので、これはちょっとYさんに状況を伝え話し合うことにします。
サーモスタットが開閉しているかは検水の温度でも分かり現状は問題なく動いています。
購入からまだ3年の船外機でインペラ周りで確認すると水路も綺麗。
この状況でボルトを折ってシリンダーを交換してまで開ける必要は無いとの結論に至りました。
もちろん、サーモスタットが故障して必要に迫られれば、その時はシリンダー交換覚悟で開けるしかありません。
ということで今回サーモスタットの点検は検水温度による状況判断にとどめました。
6馬力・8馬力の同型の船外機(トーハツも)も同じ作りですのでご注意ください。
その他の作業
プラグ交換
ギヤオイル交換
可動部グリスアップ
ペラブッシュ点検
試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはアイドリング位置にて2回始動
【温間始動】アクセルはアイドリング位置にて1回始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
●スロー調整・アイドリング調整
交換した部品
ご利用ありがとうございました。