ゴムボくらぶです
兵庫県神戸市のUさんからトーハツ9.8馬力のメンテナンス依頼をいただきました。
ありがとうございます。
去年の夏に中古購入したというトーハツ9.8馬力
沖で突然回転数が上がらなくなってしまい時速5kmのアイドリング走行で何とか帰港したとのこと。
*当ゴムボくらぶでは依頼者様との信頼関係を第一に考えており、業務の透明性や入庫時の状態・作業内容の報告を目的として一部を一般公開しております(技術の漏洩防止として公開していない内容も多数ございます)
製造年月:平成14年6月
型式:3K9
トーハツ9.8馬力・大変だぁ~!中古現状購入はこれが怖いんです!【兵庫県神戸市・Uさん】
突然回転数が上がらなくなったというトーハツ9.8馬力
一体何が原因なのでしょうか?
こっ、これは!?
ヘッドボルトが2本折れている!
Uさんがご自身でヘッドカバーを開けようとして折ってしまったのかな?と思い状況をお聞きした所なんと購入時からこの状態だったらしい。
前オーナーさんがヘッドカバーを開けようとして折ってしまたものの、エンジンは掛かるのでそのまま売却したという流れのようです。
このまま使っていたとはヤバい予感がしますね~
燃料フィルターが前後逆に付いてます。
燃料フィルターの取り付けには向きがあり流れる方向に向かって矢印が付いてます。
エンジン固定ボルトは固着で折れやすい箇所の一つです。
エンジン下りましたが。。。
残念ながら重度の塩害です。
塩害腐食でボロボロになっています。
エンジンが掛かってても、検水が出てても、中の状態が分からない中古現状はこれが怖いんです。
塩が蓄積している下のアルミは奥深くまで腐食しています。
削っても削ってもアルミの中に塩が入り込んでるんです。
強度が無くボロボロと崩れます。
隔壁に穴が開きました。
こういった状態になると最終的にシリンダーブロックが割れて冷却水が漏れ出します。
ここもボロボロ
このシリンダーブロックは使えませんのでボルトは折って外してます。
ヘッドボルトも折って外しました。
こちらクランクまわり
錆びでベアリング全部ゴリゴリ状態でアウト。
ヘッドボルトが折れたまま使っていたことで、1番シリンダーに海水が混入しクランク室にまわりベアリングが全部錆びてしまったという状況です。
これではまともに走るはずもありません。
クランクシャフトASSY交換が必要になります。
シリンダーブロックとクランンクシャフトASSYのこの2点で部品代は8~9万円ほど。
バッチリ仕上げるにはその他の部品交換も当然あるわけで、これを仕上げる費用は10万円台後半です。
この状態をUさんに伝えるとかなり落胆されていました。
でしょうね、、、
さてどうするか?
使っていない8馬力を持たれているとのことでしたので、この個体をドナーにして仕上げることになりました。
使用歴が少ない個体とのことなので、ドナーにするにはバッチリ良い状況です。
勿論出力は9.8馬力に合わせますョ。
シリンダーまわりの水路
OKです!
下部の水路もOK!
ピストン・クランクまわりも立派なもんです。
オイルシールは当然交換。
ガンメタだったシリンダーブロックは黒色に塗装しました。
左:9.8馬力のフライホイール
右:8馬力のフライホイール
9,8馬力の方は錆び錆びです。
共通パーツに関しては状態の良い方を使って組み上げます。
いい感じで仕上がってますよ。
ロアケースのオーバーホール
ギヤオイル白濁してました。
ん?
プレート下のガスカットの様子がおかしいです。
ガスケット左右逆になってます。
前オーナーさんが去シーズンにインペラ交換をしたらしいので間違えて組んでいるようです。
そしてなんと、ポンプベース下のガスケットが入ってません。
液体ガスケットのみで組まれてました。
プロペラシャフト側のオイルシール
内側・外側逆に組んでます。
ドライブシャフ側のオイルシール
こちらも内側・外側逆に組んでます。
何もかもが無茶苦茶な状態。。。
自己メンテナンスのスキルは人其々で、しっかり整備出来る人もいればユーチューブなどを見てやってみたという人も居ます。
個人アカウントのメンテナンス動画、たまに見ますが間違っていることを発信している動画が多々あります。
命に関わる船外機
個人的には何も触ってない個体の方が安心かなと思います。
これが正常なオイルシールの組み方。
インペラ交換
ポンプケースの状態が良くないので交換します。
スラストホルダー現行型になりました。
アクセルワイヤーや燃料コネクターの状態が良くなかったので8馬力から移植。
キャブセッティングをしてバッチリ絶好調でゴザイマス♪
ご利用ありがとうございました。
シープロ9.8馬力・あちゃ~!自己メンテナンスでやっちまった~!【愛媛県四国中央市・Sさん】

