ゴムボくらぶです
岡山県倉敷市のHさんからシープロ9.8馬力のメンテナンス依頼をいただきました。
ご存じの方も多いかと思いますがYouTubeチャンネル「スターマウンテン」の運営をされておられる愛称スタマンさんです。
ありがとうございます。
スタマンさんのチャンネルは私も視聴させていただいてますが、落ち着いた雰囲気で見やすい印象です。
スターマウンテンさんのチャンネルはコチラ
*当ゴムボくらぶでは依頼者様との信頼関係を第一に考えており、業務の透明性や入庫時の状態・作業内容の報告を目的として一部を一般公開しております(技術の漏洩防止として公開していない内容も多数ございます)

製造年月:平成11年12月
型式:3K9
シープロ9.8馬力・だいぶ塩が溜まってました~【岡山県倉敷市・Hさん】

今回、遥々岡山から持ち込みでご入庫いただきました。

淡水使用歴の個体を中古購入されたそうで、購入後ヘッドボルトのグリスアップをされてます。
淡水使用歴でも固着してるやつは固着してるので折れなかったのは運が良かったと思います。

その時に市販のステン全ネジボルトを取り付けているそうで、今回純正形状の半ネジボルトへの変更をご希望されてます。
全ネジだとセンターも出ないし強度的に止めておいた方が良いです。

さて、エンンジン下りました。

OH!なかなか酷い塩の蓄積です。
クランクケースヘッドのボルトは確実に固着しているでしょう。

塩が長年アルミの上に蓄積していると徐々に塩の下のアルミが腐食します。塩の層が厚ければ厚いほど顕著です。
現状の状態を考察すると幸いにもアルミ地はまだ腐食はしていないようですので、手遅れになる前で良かったです。

こちらも塩が蓄積してます。
アンダーケースやドライブシャフトハウジングも例外なく腐食します。
シリンダーブロックを始めとするこういったパーツがフルでやられちゃうと絶望的な費用が掛かります。

シリンダー側水路はどうでしょう?
ヘッドガスケットは現行の物が入ってたのでグリスアップした時にとサーモスタットと共に交換したようですね。
1番・2番共にシリンダ―に若干冷却水が流入した形跡がありました。
ヘッドガスケットを交換する際には面出しや均一な締め付けトルクなど気を付けるべき内容があります。状況によってはシリンダーへの海水流入によりピストンリングが固着したりと深刻な故障に繋がりますので注意が必要です。

シリンダー周りの塩はまぁまぁって感じです。
シリンダーまわりの水路も腐食しますからね。

塩清掃中

サーモスタットは状態が良いのでこのまま使います。

綺麗になりました。

こちらも綺麗に

ヘッドボルトは半ネジに変更します。
ただの半ネジボルトではなく強度に優れたハイテンションボルトになります。

ヘッドカバーの組付け

キャブレターの清掃
P/S調整は冷間始動・温間始動を数回行いベスポジに合わせます。

お次は駆動系のメンテナンスです。
ギヤオイル少し白濁してますのでオーバーホールします。

トリムタブボルトが固着しています。
この年製は本来トリムタブではなく丸いアノードが付くので、トリムタブはまともな方向で取り付けるとペラと当たってしまいます。
丸いアノードが付くタイプとトリムタブが付くタイプでは取り付け位置が違います。
だからだ逆向きでいぶ角度を付けて取り付けているのだと思いますが、水流の抵抗が増えるためMAXスピードは少し落ちると思います。

真っ白なので磨いてから取り付けます。

ロアケースのオーバーホール

ペラ側のオイルシールの状態
スラストホルダーは固着してました。

オイルシールを始めとする消耗部品はフル交換です。

インペラも当然交換です。

恐らく一度も交換していないであろうロープも交換しておきます。

バッチリですよ~♪
固着している部分が複数ありましたが、解除、グリスアップして組み直しました。
大事に使ってって下さいね^_^
ご利用ありがとうございました。
シープロ9.8馬力・ヘッドボルトは11本固着してました【京都府京都市・Nさん】