ゴムボくらぶです
福岡県北九州市のIさんからホンダ2馬力の修理依頼をいただきました。
海上でスターターロープを引いた直後から突然キンキンンキンと異音が出るようになったとのことでお持ち込みいただきました。
修理箇所以外もおまかせでメンテナンス依頼いただいていますので全体的に見ていきます。
製造年月:2019年12月
型式:BAAC(BF2DH)
異音の原因は一体!?
分解前にエンジンを掛けるとキン!キン!キン!と甲高い金属音のような異音がしています。
この状態ではさすがに使えませんね!
Iさん自身で原因究明をしようと分解したようであちらこちらのネジが緩んだままです。
こういった部分も見落とさないよう緩みチェックもしながらやっていきます。
全体的に見ていきますのでまずはキャブレターの清掃からやります。
そういえばエンジンが止まる時があると言っていました。
ヤマルーブでしっかりと清掃しておきます。
キャブレター内はそんなに汚れていませんでしたが燃料フィルターは結構ゴミ溜まっています。
詰まる前に綺麗に清掃しておきます。
もちろん燃料タンクも清掃しますよ~。
定番のイグナイターもメンテナンスしておきます。
空冷+鉄という状況なのでどうしてもこの部分は錆び易いですね。
アンダーケースのダクトから入った飛沫が付いています。
防錆処理をしておきますが定期的なメンテナンスが必須な箇所です。
エンジンオイルが漏れていると聞いております。
ドレンボルトのOリングを交換して様子を見てみると、どうも漏れはドレンボルトからではないよう。
エンジンオイルの量を点検する窓の奥にもOリングがあるんですが、漏れはその部分からでした。
こちらがそのOリング
左側が純正のOリングで左側は社外のOリングです。
純正Oリングを嵌めて取り付けるとスカスカで頼りない感じです。
2019年製で見た目的にも感触的にもOリングがへたっているとは考え難い。
ちなみにこのOリングのサイズは以下の通り
純正Oリング 22.1m×2.2mm
先ほども書いたように経年劣化でへたっているとは考えにくいので、純正のOリングに交換するのではなくもう少しフィット感が良いOリングに交換することにしました。
交換したサイズは
21mm×2.5mm
純正のOリングよりもフィット感がかなり良くGoodです!
数日間、オイル漏れのチェックをしましたが漏れは無事止まりました。
排気管への結晶固着はなく綺麗な状態でした。
さて、異音の原因は何だった!?
サーセン!
勿体ぶりましたが。。。
異音の原因はズバリ!
スターターのリコイルです。
赤丸の部分にあるプラスチックの爪が出たままになっています。
この部分は通常ロープを引っ張っている間だけ出ていてロープが戻るタイミングで中に入る構造になっています。
反対側にも同じ爪があるのですがこちらはきっちりと入っています。
この爪が出たままになっているので回転している金属部分に当たったままとなり、キンキンキンと異音が出ていたというわけです。
リコイルASSYはちょっと値段がしますが仕方ない
交換します。
このようになってしまう原因の一つにロープの引き方があります。
上手な引き方はロープが固くなる部分までゆっくり引いて固くなったところ(圧縮上死点)で一旦ロープを戻して助走が無い状態からスマートに引っ張ります。
スターターロープは
スローインファーストアウト!
で引きましょう!
いきなり力いっぱい引かなくても気持ちゆっくり引き始めて後半に力を入れてやれば良いのです。
こうすることで最もエンジンが掛かり易い状態となりロープを引く回数も最低限で済み、またリコイルに対しても負担が少なくなります。
この引き方に慣れたら特に意識しなくとも自然とこの引き方をするようになります。
どうぞご参考に!
その他の作業
●エンジンオイル交換
●ギヤオイル交換
●ステンレスネジ化
●各部グリスアップ
試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置にて2回で始動
【温間始動】1回で始動
【吹け上がり】良好
パイロット調整・アイドリング調整
交換した部品
ご利用ありがとうございました。