こんにちは、D2(@gomubo_club)です
福岡県京都郡・Yさんからトーハツ2馬力船外機の修理依頼を頂きました。
●キャブレターのホースからガソリンが漏れている。(オーバーフロー)
●シフトレバーが固くなっている。
上記、2点の修理がメインとなりますが、シャーピンの点検や、作業に伴う油脂類の交換も言われていますので、そのあたりも流れに沿ってやっていきます。
型式:3BV (MFS2B)
製造年月:27年8月
トーハツ2馬力・修理開始
まず、バラす前に症状を確認するためにエンジンを掛けて見ます。
チョークを引いてアクセルはSTART位置でエンジン始動をしてみると、なかなかエンジンが掛かりません。
チョークを引いてる状態では掛かる気配がなかったので、チョークを戻したり引いたりして様子を伺いながらやっているとようやく掛かりました。
アイドリングが不安定です。
バケツの水面を見てみるとガソリンが浮いておりオーバーフローが確認できました。
トーハツ2馬力・キャブレターの分解
トーハツ2馬力B型キャブレター
フロートとフロートバルブです。
フロートバルブは消耗部品で船外機の使用回数が増えるにつれて、先端の三角部分が磨耗します。
フロートはデリケートなパーツですので取扱いには注意が必要です。
フロートの詳しい構造は
【船外機トラブル】ガソリンがオーバーフローする時の対処法を参照してください。
フロートバルブの点検
フロートバルブのアップ。
矢印部分が磨耗するとガソリンがオーバーフローしてしまいます。
毎回当たっている部分に横線が入っており少し磨耗しているようにも見えます。
また、一番下中央のピンのような部分はダンパーの役目をしており、この部分の動きが弱くなるとこれもオーバーフローをする原因となります。
フロートバルブは交換することにします。
フロートの金具の確認
フロートの高低差を制御する金具部分
角度に問題がないかを確認します。
フロートの浮力テスト
滅多にないことですが、フロートに亀裂や割れがある場合もオーバーフローしますので浮力テストをします。
浸水も無く問題ないようです。
バルブシートの点検
フロートバルブの三角部分がこの穴に入って蓋をしますが、異常がないかを確認します。
キャブレターの清掃
エアージェット、汚れているようですね。
キャブレター内部を徹底的に清掃します。
キャブクリーナー・パーツクリーナー・エアーガンで清掃
穴詰まりはないようです。
メインジェット・メインノズル・エアージェット
キャブレター本体にもある、さまざまな経路を清掃して完了です。
キャブレターの清掃には泡タイプがおすすめ。
トーハツ2馬力・シフトレバーの修理
依頼箇所のシフトレバーですが、動かしてみるとかなり固いです。
この年式はグリスニップルが付いていましたので、一応グリスを注入してみましたが、改善はされませんでした。
まぁ、ここまで固くなっていると中のOリングがダメになっている可能性が高いので、例え一時的に軽くなったとしても長くは持ちません。
ですので、長く快適に使えるようにきっちり分解修理をします。
エンジン下ろしました。
シフトレバーを抜きます。
ちなみに、固くなったシフトレバーはそのまま抜こうとしても簡単には抜けません。
最悪エクステンションケース交換になりますのでご注意を。
エンジン下部のガスケットは交換となります。
シフトレバーを抜いてみると、やはり内側のOリングが塩噛みでダメになっていました。
Oリングは内側、外側ともに交換します。
現行型についているグリスニップルですが、グリスが入り辛くなかなか効果が体感できない印象です。
現行型グリスニップルの構造内部を、一度見てみたいと思っていたのですが、ちゃんとシフトレバー軸まで貫通はしていました。
試しにシフトレバーを抜いた状態でグリスニップルから注油してみます。
数回注入した程度ではシフトレバー軸まで到しませんがしつこくしてやると、ようやく軸まで到達しました。
なかなかグリスが到達し辛い感じです。
今回、シフトレバー軸までグリスを注入しましたので今後はグリスアップし易いかと思います。
動きが固くなる前に定期的な注油が必要ですね。
グリスが溜まる溝は少ししか無いのですが、タップリ塗って差し込んでおきます。
内側からはマリングリスでシールドしておきます。
ちょっと声が小さいですが、、、
動作確認の動画を撮ってみました。
トーハツ2馬力・アノード交換
アノードは依頼を受けていたところではありませんが、状態がよくありません。
ロワケース取り付けボルト2本の錆が進行しており、購入から3年程度でこの錆はアノードの効果が薄れていると思われます。
このまま錆(腐食)が進行するとロワケースが外せなくなり、インペラ交換が困難になりますので、外せるうちに錆ボルト2本とアノードは交換しておきます。
アノードが固着しており、ボルトを外してもとれないのでショックを与えて外しました。
アップでみると、このようにいびつな状態になっており、真ん中の穴も広くなってしまっています。
特定の箇所の修理依頼であっても、基本的には全体的にチェックするようにしております。
不具合が出ている箇所が発見された場合は、高額なものならば依頼者様と相談してからどうするか決めますし、高くないものであればこちらの判断でやっておきます。
これで、バッチリです。
シャフトにマリングリスを塗ってペラを組み付けます。
シャーピン・割りピン交換。
トーハツ2馬力修理・試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置にて2回で始動。
【温間始動】アクセルはRESTART位置で1回始動。
【吹け上がり】良好
スロー調整・アイドリング調整
【修理依頼箇所の状況】
トーハツ2馬力修理・交換部品
その他の行った作業
●スロースクリューメクラ開放
●ギヤオイル交換
ご利用ありがとうございました。
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