ゴムボくらぶです
福岡県春日市Iさんからトーハツ2馬力の修理依頼を頂きました。
ありがとうございます。
オークションで購入したばかりというトーハツ2馬力
いろいろと不調があるようです。
●検水が出ない。
●エンジンを掛けると高回転になってアクセル操作不能ということです。
では、見ていきましょう

製造年月:22年2月
型式:3BV(MFS2B)
トーハツ2馬力の修理

エンジンは掛かるようですが、アクセル操作不能とのことなのでキャブレターから点検してみましょう。

まず、、、
インシュレーターが入っていません。
どういった経緯でこのような状態になっているのかはわかりませんが、インシュレーターはIさんから手渡しで受け取りました。
インシュレーターが入ってないとキャブレター取り付け位置が変わってしまいリンクロッドがスロットルを押し当然アイドリングでも高回転になります。

なにはさておき、まずはキャブレターをしっかり清掃してから正常な状態に組み上げます。

キャブレター自体は新しいようですね。
そして、このキャブレターは社外になりますが快速仕様で使うにはポン付けではダメです。
きっちりと各部の調整や個体に合わせたセッティングをしないと良好な状態では使えません。
個体差が多いこのキャブレターのポテンシャルを発揮するには臨機応変なスキルが必要になります。
【動く】と【セッティング】では意味が違いますョ
そして、無事快速仕様になりました。
●アクセルワイヤー調整

はい、次!
検水が出ないということでしたがインペラを確認してみると、
アララ凄い状態になってます。

溶けたゴムがベッタリとライナーに焼き付いてます。
これ、過去水無しでエンジン掛けて焼き付かせてますね。
ケース、ライナーも交換になります。

インペラはスポンジのようになっており、削れてしまっています。
ポンプベース内には削れたカスが溜まってました。
果たして破片をエンジン内部に吸い込んでしまっているか?
スポンジのように削れていることから判断が難しいところですね。
最初からおまかせコースのご依頼であれば迷わずエンジンを下ろすのですが、今回特定箇所の修理依頼なので。
費用の面などお客様にも都合がありますので状況に合わせて対応します。
取り敢えずインペラを交換してエンジンを掛けてみると検水は勢いよく出ました。
んが、しかし!
念入りに点検するためにエンジン切ったり掛けたりを繰り返していると段々検水の勢いが無くなっていき。。。。
最終的にはちょろちょとしか出なくなりました。
再度、ケースを開けて見てみるとインペラは正常です。
ということは、やはりエンジン内部に破片が入って検水口を塞いでしまってますので、やはりこれはエンジン下ろして破片を取り除く必要があります。
この状況をIさんにお伝えしておまかせコースに変更しました。
エンジンを下ろせばその他にも出来るメンテナンスが増えますので、まぁこれから快適安心で使うにあたって全部やっておいた方が良いと思います。


犯人発見!
やはり切れたインペラの破片が悪さしてましたね。

【検水がちょろちょろとしか出なくなった状況を再現】
最初は勢いよく出ていた検水もエンジンを掛けたり切ったりと繰り返してるうちに、徐々に検水口の方に吸い込まれ写真にような状態になっていたと思います。
この場合検水が出ていなくても水は吸い上げられていたということになしますが、今後使うに於いて検水がちゃんと出ないと水は吸い上げられているのかの判断が付きません。

ここから更に奥に吸い上げられてエンジン内部で詰まっているということは考えにくいですが水路をしっかりと点検しておきます。

サーモスタット内の水路

冷却水の排水口はココ
エンジン内部への破片吸い込みはありませんでした。

ケースも交換して塩嚙み対策をして組み上げました。
その他の作業

シフトレバーのメンテナンス

↓

グリスニップル取り付け加工

サーモスタットの点検OK!
●タペット調整
●クランクケースヘッドのメンテナンス
●エンジンオイル交換
●ギヤオイル交換
●シャーピン交換
●各部グリスアップ
●トップカウルのパッキン剥げの張り直し
試運転
【冷間始動】チョークを引いてSTART位置にて2回で始動
【温間始動】RETSRT位置にて1回で始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
交換した部品

ご利用ありがとうございました。