こんにちは、D2です
山口県下関市・Nさんからトーハツ2馬力船外機の修理依頼を頂きました。
●検水が全く出ない。
●キャブレター内部の清掃
上記、2点の修理にくわえ、その他の全体的なメンテナンスも合わせてご依頼頂きました。
型式:3BV (MFS2B)
製造年月:29年9月
エンジンの状況
自宅にてエンジンを掛けたところ、検水が全く出ていないことに気付き、直ぐにエンジン停止。
*前回の最終使用時までは検水はちゃんと出ていたとのこと。
そして検水口の塩詰まりを疑い、検水ホースから水を入れてみようとするもキャブのホースと間違えて水を入れてしまう。
そしてキャブ内に水が混入しエンジン不動に。。という状況です。
検水が出ないと一大事ですから、焦っている時はこんなこともあるものだと思います。
キャブ清掃
まずは、エンジンを始動して検水の状況を確認したいのでキャブの清掃からはじめます。
チャンバー内、水満タン状態。
スロー系統のゴムキャップが外れています。
振動でだんだん入りが甘くなってくるのかB型キャブはこのゴムキャップ外れがホント多いですね。
隅々までキャブクリーナーで清掃します。
燃料フィルターも清掃
少しゴミが溜まっていますね。
燃料ホースの中にもゴミがありましたので清掃します。
一旦キャブを組み付けてエンジン始動してみる
一旦キャブを取り付けてエンジンを始動してみます。
すると、若干勢いが弱いようですが検水は出ています。
一時的な塩詰まりだったのだろうか??
次はインペラをバラしてみます。
インペラ分解
インペラを1度もバラしたことない船外機はここが鬼門。
できれば新品購入時、塩噛みする前にこの4本のボルトを外しグリスアップするのが理想です。
29年製トーハツ2馬力、さて難なく緩むでしょうか!?
3本は難なく緩みましたが1本が塩噛み(大)
最大限のスキルを使い何とか無事折らずに緩めることが出来ました。
見ての通り塩噛み(大)は左端のボルトですね。
塩満タン、これ普通に緩めたら折れる固さでした。
さて、ついていたインペラがこれです。
見たところ、そんなに痛んでいないようです。
う~む、検水が出なかったのはインペラが原因だとは考え難い。
仮説として検水口周辺に溜まった結晶が一時的に詰まって検水が出なかったが、現在は結晶が流れて検水が出ているということだとすると、検水口周辺には結晶がかなり溜まっている可能性があり、いればいずれはまた詰まることになる。
この状況で検水が出ているからとインペラを交換してハイ出来ましたではあまりにも不安過ぎる。
ここは検水口周辺の徹底的な水路のチェック&塩清掃までしておきたい。
エンジンを下ろして水路をチェックすることにします。
水路の状態
水路の状態を確認してみると、特別酷いというほどではないですが、それなりに塩の結晶がついています。検水口周りは特に溜まっていますね。
塩害腐食防止剤、ソルトアウェイを使って塩清掃します。
ソルトアウェイの使い方は塩害腐食防止剤・SALT-AWAY(ソルトアウェイ)をミニボートに活用する!で詳しく説明しています。
綺麗になりました
検水口に棒を通して穴も念入りに清掃します。
あと、ロアケース吸い込み口からインペラまでと、インペラケースと繋がるウォーターパイプも清掃します。
ここまでしておけば安心で、検水が詰まる要素は皆無です。
これで組み付けます。
タップを立ててネジ穴を掃除します。
新品のインペラ組み付け
鬼門のインペラケース固定の4本ボルト。
今回、耐水グリスでグリスアップしてるので次回から難儀することはないでしょう。
サーモスタッドの点検
弁がキッチリ開いており問題ありません。
ケース内も清掃をして組み付けをします。
サーモスタットのガスケットは交換
外れやすいキャブ内のゴムキャップもこの機会に交換しておきます。
組み上げて試運転
【冷間始動】チョークを引いて2回目で始動
【温間始動】アクセルSTART位置及びRESTART位置にて1回始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
【その他のチェック箇所】
●プラグOK
●スターターロープOK
●シャーピンOK
●アノード清掃
【検水が出なかった原因について】
一時的に検水口に結晶が詰まって水が出なくなっていたぐらいしか原因は見当たらず、今回徹底的にに水路を清掃してインペラを交換し、問題がある要素は無いというところで自信を持って完了としました。
交換した部品
ご利用ありがとうございました。
トーハツ2馬力の検水が突然出なくなった。その原因は!?【福岡県北九州市・おかちんさん】
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