ゴムボくらぶです!
福岡県北九州市・Oさんからホンダ2馬力の修理依頼を頂きました。
今回の修理は水没です。
まだ買ったばかりのホンダ2馬力ですが、波打ち際でボートがひっくり返って完全に水没してしまったとのことです。
取り敢えず応急処置としてOさんがエンジンオイルの交換をしたとのこと。
水没はこういった応急処置が非常に重要で、応急処置をするかしないかで後の修理費用の明暗が分かれます。
通常のオイル交換の要領でOKです!まずは一刻も早くエンジン内部の海水をできるだけ抜いて内部をエンジンオイル満たしておくことが非常に重要です。レベルゲージの上限を超えて良いのでエンジンの内部をオイルで満たしておいてください。
そうすることで極力修理費用を抑えることができます。
あと、修理前に
絶対にエンジンを掛けようとしないで下さい!
ますます壊れますから!
では、やっていきましょう。
製造年月:2020年12月
型式:BAAC(BF2DH)
ホンダ2馬力(BF2DH)水没修理
バリバリの新品です
まずは内部に入っている白濁したエンジンオイルを抜いて新しいオイルを入れておきます。
Oさんが一度オイル交換をしていますがまだまだ内部には海水が入ってます。
チャッチャと下ろしていきます。
クラッチまわり、既に錆が出ています。
表面的なものなのでこれは大したことありません。
エンジンオイルが入る部分(クランク室)とこのプラグ穴の部分(燃焼室)は別の部屋になっておりますので、プラグ穴からも燃焼室にエンジンオイルを入れます。
ブローバイホースから入った海水はクランク室に入り、キャブや排気管から入った海水は燃焼室に入ります。
エンジン内部を錆び(腐食)させないことが最も重要です。
バルブを錆びさせないよう吸気側からもオイルを入れます。
排気側からも入れます。
クラッチケース内は海水が入ったままです。
塩害は乾いてからの方が悪化するため早期の処置が重要です。
錆を落としました。
クラッチシュー、洗浄して数日間様子を見ていましたが大丈夫そうです。
クラッチケースも洗浄して数日間様子見をしていましたが、ベアリングはスムーズに回りますのでこちらも大丈夫そうです。
燃焼室はエンジンコンディショナーで洗浄します。
キャブレター及び燃料系の清掃
キャブレターも当然清掃。
燃料タンク内にも海水が入ってました。
エンジンオイルの交換
エンジン内部にかなり海水が入ったようで1回2回のオイル交換ではなかなか抜けません。
全部で4回オイル交換をしたのですが順番に番号を打ってみました。
上の画像は1回目と2回目です。
段々と色が変化していっているのが分かります。
こちらが3回目と4回目です。
4回目でようやくほぼ通常のエンジンオイルの色になりました。
最終の状態
ここまでなればあとは通常の使い方で大丈夫です。
水没するとこういった部分のグリスも乳化してしまいますのでグリスアップし直しておきます。
ここも
舵の重さを調整するプラノブも清掃しておかないと、後々ねじ山が固着してしまいますのでこういった部分も作業が必要です。
その他、各部グリスアップ
試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置にて2回で始動
【温間始動】アイドリング位置にて1回で始動
【吹か上げり】良好
●スロー調整・アイドリング調整
水没修理は状態によってやり方が変わってきます。
完全に浸かってしまったもののまだそこまで悪化していなかったのが不幸中の幸いでした。
今回、交換した部品はありません。
水没や海難事故には十分気をつけて楽しみましょう。
ご利用ありがとうございました。