こんにちは、ゴムボくらぶ(@gomubo_club)です。
福岡県中間市Mさんよりホンダ2馬力の修理依頼を頂きました。
出航場所にて波を受けてボートがひっくり返ってしまい、船外機が水没してしまったとのことです。
打ち寄せる波が高い場所からのエントリーは離岸時・着岸時共に危険度が高く、波が崩れるタイミングに当たってしまうと浸水・横転する危険性があります。
沖で白波が出た場合も状況次第では同じことが起こりますので十分気をつけましょう。
船外機の状況
エンジンが掛かった状態で水没してしまい、水没時間は30秒程度とのこと。
新品購入後、使用3回目というまだ新しい船外機です。
水没した翌日の早朝に当ブログのお問い合わせから修理依頼のご連絡を頂きました。
そして、メール受信から20分後にMさんに電話をして状況を確認。
本来水没は早急に修理に掛かる必要があるのですが、お盆休みの最中だったため、私とMさんの都合がつくのが最短で3日後。
こんな時は、応急処置をすることでエンジン本体を塩害から保護することができますので、応急処置の方法をMさんに伝えてやってもらいました。
*キャブの清掃とエンジンオイルの交換はMさんが作業済みでした。
応急処置の方法はこちら↓↓↓
このような応急処置を行ったあとに後日、入庫して頂きました。
型式:BAAC(BF2DH)
製造年月:2019年2月
ホンダ2馬力・水没修理
早速バラしていきます。
電話で話したあとにMさんが黒い内部カバーを外してエンジンを流水で流しておりましたので結構綺麗なままを保てています。
塩分は早めに洗い流してやるのが効果的です。
エンジンを下ろしてクラッチケース内を確認してみます。
クラッチケースは海水が入ると抜けない構造なのでこの部分が錆びてしまうのは仕方ないです。
現状、固着していませんでしたがベアリング内部に浸水している可能性があるため、ベアリングと内側の回転部分がセットになっているアウタークラッチASSYを交換しました。
クラッチシューは金属部分の表面だけ錆が出ていましたが、交換する必要は無いと判断しました。
写真はワイヤーブラシで清掃後です。
気になるエンジン内部です。
海水混じりのオイルを抜いて綺麗なオイルで満たしていたので全く錆が出ていません。
クランクシャフトもベアリングも全く問題無し。
奥側も全く錆無しですね。
ヘッドカバー内部
プッシュロッドやバルブも全く錆びていません。
応急処置の中でプラグ穴からオイルを入れて、ゆっくりスターターロープを引き止まったところで止めるというのがありますが、これはオイルをバルブの方へ溢れさせてバルブもオイルで保護しつつシリンダーを密閉させる狙いがあります。
バルブは鉄なので錆び易いですからね。
エンジン内部が錆びると修理費用が大きく変わってきます。
海水を抜き内部をオイルで満たしておくことでこのように錆から守れます。
シリンダー内部に残ったオイルをエンジンコンディショナーを使い清掃します。
エンジン内部は大丈夫でしたので今度は外側をソルトアウェイを使って洗浄します。
一旦綺麗に洗浄した後に、再度ソルトアウェイを付着させたままにすることで防錆効果が高くなります。
ソルトアウェイの詳しい内容は塩害腐食防止剤・SALT-AWAY(ソルトアウェイ)をミニボートに活用する!に記載しています。
ブラケット周辺なんかも錆び易いので洗浄しときます。
アクセルを回すとジャリジャリとした感触があったので分解してみると砂が入ってました。
こんなところまで砂が入っています。
砂を洗い流してグリスアップしておきます。
ここにも砂が入ってますね。
砂が噛むとオイルシールがダメになってしまいますので良く洗い流しておきます。
キャブも綺麗に清掃します。
チャンバー内部に溜まっているのはオイル。
油分が回って錆も出てなく綺麗ですね。
燃料キャップ・燃料タンク・燃料ホースも清掃しておきます。
あと電装系のグリスアップも。
これらの作業を終えて組み上げました。
試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置で1回始動
【温間始動】アクセルはアイドリング位置で1回始動
【吹け上がり】良好
【遠心クラッチ】良好
●オイル交換2回
新しいオイルを入れて暫くエンジンを回したあとに、もう一回オイル交換をしました。
交換部品
水没修理の交換部品はクラッチアウターASSYだけですが、右側のエアーガイドは一部割れがあったため、Mさんからの希望で交換しました。
ご利用ありがとうございました。
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