こんにちは、D2です
山口県山陽小野田市Nさんよりホンダ2馬力の修理依頼を頂きました。
海水水没によってペラが固着してしまい全く動かなくなってしまったとのこと。
現状エンジンは掛かる状態。
今回の修理ではエンジンの脱着作業があるため、ホンダ2馬力の定番作業であるステンレスボルト化&ステンレスヘッドカバー化も同時に行います。
こういった作業の時に同時にステンレス化を行うと、部品代3000円弱が追加されるだけなのでコスパが良いです。
ステンレスボルトはYES 安原エンジンサービス様がオリジナルで販売されているステンレスネジセットを使用します。
型式:BZBF(BF2D6?DK2?)
製造年月:23年7月
ホンダ2馬力・ペラ固着修理
分解前にエンジンを掛けてみると1回で掛かり、エンジン自体は調子良いです。
エンジンオイルの白濁も無いので、持込まれる前に交換されたのだと思います。
水没はその後のスピーディーな対応が大事です。
エンジン本体が大丈夫なのは非常にメリットが大きいです。
当然、ペラを手で回そうとするもガチガチに固着しており全く動きません。
海水水没ですが見た感じボルト類の錆も無く非常に綺麗です。
ペラが動かない原因はクラッチベアリングの固着だと思われますので、エンジンを下ろす作業をやっていきます。
カバー内部は錆が出ていました。
アルミ部分も粉吹いています。
ステンレス化されないボルトは、組み付け前に極力錆を落としてグリスを塗っておきます。
エンジンを下ろすためのボルトや付随品を全て外すも、本体とクラッチケースが塩で固着しており外れません。
仕方ないので、クラッチケースと排気管も一緒に外しました。
クラッチベアリングを確認すると完全に固着しています。
クラッチシューも完全に無くなり金属部分が出てきています。
ベアリングが固着してるから、エンジンを掛けてアクセルを開ければみるみるうちにクラッチシューは減っていきますよね。
こちらが新品のクラッチシューとベアリングです。
ステンレスヘッドカバー
(有)安原エンジンサービスさん、オリジナル販売品のステンレスボルトセットです。
しょうゆ入れに入った青い液体は緩み止め剤で、エンジン固定ボルトに使います。
ヘッドカバーを開けるとエンジン内部に錆などは見られませんでした。
クラッチベアリングとクラッチシューを交換しヘッドカバーをステンレス化しました。
錆び易い遮熱板のネジもステンレス化となります。
緩み止め剤を塗って
組んでいきます
Nさんは新品のキャブレターをお持ちだったらしく(右側)船外機と一緒にお預かりしていました。
しかし、何故かチャンバーの形状が違います。
真ん中の固定ボルトとドレンが同じ位置にあります。
スローの調整ネジも通常のものとは違い、調整の稼動域が少なくボルト頭の突起が引っ掛かってスクリューは外れないようになっています。
キャブのベースは同じなのですが付属品が違います。
試しに、一旦このキャブをこのまま組み付けてエンジン始動を試みると全くエンジンが掛からない。
内部の構成パーツが違っており、このままでは使えません。
元々ついていたキャブは燃料コックのレバーが内部の錆で硬くなっており、レバー先端が折れていましたので、何とかこの新品キャブを生かしたい。
ニコイチにします。
スロー調整ボルトの突起を削って外し、付属品や内部の構成パーツを組み替えて使えるようにします。
ガスケットセットも一緒にご持参していただいていたので、これも使いました。
無事新品キャブが使えるようになりました。
試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置で1回始動
【温間始動】アクセルはアイドリング位置で1回始動
【吹け上がり】良好
【遠心クラッチ】良好
●シャーピンが曲がっていたので交換しました
交換した部品
ご利用ありがとうございました。
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