こんにちは、D2です
山口県下関市のHさんからマーキュリー 4st 2馬力のメンテナンス依頼を頂きました。
5年以上ガソリンを入れたままで眠っていたエンジンとのことで、現状エンジンが掛からない状況。
今回、メンテナンスをして再度使い始めるということですので、安心して使えるようにしっかりメンテナンスをさせて頂きます。
型式:3BV(F2M)
製造年月:20年3月
マーキュリー2馬力メンテナンス開始
通常だと、分解前にエンジンを始動し掛かり具合やアイドリングの安定性を見るところですが、当然中のガソリンは腐敗しておりますのでエンジンは掛かりません。
マーキュリー2馬力・キャブレターの分解
まずは、キャブレターから分解してみます。
予想通りキャブレターの中は大変なことになっています。
緑色に変色したガソリン
メインジェットとフロートバルブ
ヘドロのようになっています。
キャブクリーナーにて2回ほど清掃しました。
これでイケるかな!?
マーキュリー2馬力・燃料タンク清掃
燃料タンク内もガソリンが入ったままでしたので内部に汚れが溜まっていないか徹底的なチェックが必要です。
燃料タンクの台座を外して底を見てみると、黄色丸の2箇所にガソリンが腐敗したものが溜まっています。
1番沈殿物が溜まりやすい場所ですね。
内部を洗浄します。
燃料キャップのチェーンやエアーベントも分解して内部を清掃。
燃料タンク内、綺麗になりました。
燃料ホース内も清掃します。
燃料コックの動きが固く、ゴムのカスなのか?網の内部に出せない異物もあったため、
燃料コック交換することにしました。
マーキュリー2馬力・エンジンを始動して必要な部品をあらい出す
全ての状況を確認しないと必要な部品があらい出せないため、一旦エンジンを掛けれる状態にします。
新しいガソリンを入れて、数回スターターロープを引っ張るとエンジン掛かりました。
が、気になっていた検水をすかさず見ると全く水が出ていない。
これは、いかんと直ぐにエンジンを切って、いったん中古インペラに組み替えてエンジンを掛けれるようにします。
急遽インペラを組み替えて再度始動。
今度はちゃんと検水が出ていますのでゆっくり調子が見れます。
すると、明らかに調子がおかしい。
エンジンが止まる。。。
スロー調整をしてみても改善されません。
そこで、キャブレターを外してもう一回清掃してみます。
が状況は変わらず。。。
どこが悪いのかを探るために、正常な予備キャブの内部パーツと組み替えてみます。
しかし、それでも状況は改善されず。。。
今度は予備キャブ本体ごと付け替えてエンジンを始動してみると今度は調子が良く正常な状態です。
正常なキャブを取り付ければ問題無いという事まで確認しておかないといけません。
インペラがダメでしたので、もしも過去にオーバーヒートをしていたらエンジン本体も修理が必要となり修理内容が変わってきますから。
エンジン本体は問題なく一安心。
キャブの内部経路に解決できない問題があるのか、またはその昔このエンジンを使っていた時、あまり調子が良くなかったと聞いていますのでキャブレター本体が悪いのかもしれません。
ちょっと値が張りますが、キャブレター本体をASSY交換することにしました。
今まで付いていたキャブが左側で右が新品のキャブです。
元々この年式はA型キャブですが、現在はB型キャブで兼用になっていますのでB型キャブ搭載になりました。
マーキュリー2馬力・インペラ交換
水を吸い上げなかったインペラがコレです。
羽根が無い。。。
インペラが焼きついてライナーに固着したゴム
こうなる原因は一つ
過去に水無しでエンジンを掛けているためです。
インペラの羽根は常にライナーに押し付けられていますので、水無しでエンジンを掛ければ
1分も掛からずに焼きつきます。
水冷式は少しだけでも絶対に水無しでエンジン掛けてはダメです。
インペラにダメージを与えてしまいますよ。
インペラ・ライナー・ケース交換です。
あと、ウォーターパイプのグロメットとシフトのOリングも交換。
本来、ケースは交換しなくて良いのですが、ケースとライナーが固着しており分離できないため、ケースも一緒に交換です。
ネジ穴を掃除して耐水グリスを塗って組み付けします。
マーキュリー2馬力・シフトレバーの修理
トーハツ2馬力やマーキュリー 4st 2馬力ではシフトレバーの固着は定番修理。
まだ完全固着はしていませんが、明らかにシフト操作が固くなっております。
固くなりだすと悪化するのは早いので今のうちにやっておきます。
症状が悪化してからでは、修理費用はウン万円の差が出ることもありますので、固くなったと感じたら修理タイミングです。
シフトレバー修理の際にはグリスニップルが付いていない場合は、追加加工サービスがもれなくついてきます。
グリスニップルを取り付ければ、今後シフトレバーが固着することもなく快適に使えます。
ドリルで穴を開けてタップをたてて、グリスニップルを取り付けます。
この作業は決して難しくはないのですが、絶対に失敗が許されない作業なので慎重に行います!
シフトレバー軸まで貫通させて、無事グリスニップルがつきました。
作業の工程上、ニップル中心のボールが無くなりますがキャップがあるので問題ありません。
定期的に(年に1回程度)グリスガンもしくはノズル突きのスプレーグリス(穴に入る細いノズルが好ましい)で注油すればOKです。
Oリング2つを交換してグリスを塗って組み付けます。
マーキュリー2馬力・サーモスタットの点検
サーモスタットを単体点検しましたが、キッチリ弁が開いており問題ありませんでした。
塩害も少なく綺麗です。
マーキュリー2馬力・シャーピンが曲がっていた
ペラがなかなか外れないなと思ったらシャーピンが曲がっていました。
抜くのも一苦労。。。
このまま乗ると危ないところでした。
マーキュリー2馬力・組み上げて試運転
【冷間始動】チョークを引いて1回始動
【温間始動】アクセルSTART位置及びRESTART位置にて1回始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
非常にエンジン調子良いです!
マーキュリー2馬力メンテナンス・交換部品
その他
●プラグOK
●スターターロープOK
●各所グリスアップ
ご利用ありがとうございました。
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