ゴムボくらぶです
福岡県福岡市のスナイパーさんからトーハツ9.8馬力のメンテナンス依頼をいただきました。
トーハツ9.8馬力を購入後、他店さんにて1年半に1度のスパンで定期メンテナンスを行ってきたというスナイパーさん。
最後に行ったメンテナンス後に海上でキャブレターが詰まって不動となったそうで、今回からこちらにご入庫いただきました。
その後、同店にてキャブレターを交換してからは調子は良いとのことですが海上でのトラブルは命取りとなります。
しっかりとメンテナンスしていきましょう!
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製造年月:26年7月
型式:3V2(MFS9.8A3)
トーハツ9.8馬力のメンテナンス
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4ストのこのクラスが入庫するのは初めてですが、大きくてどっしりとした作りですね。
当工場で対応できるのは重量40kgまでなので上限クラスとなります。
インペラ交換
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まずはインペラから分解していきます。
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ついていたインンペラはこんな感じでした。
インペラは羽根が切れてしまうと水路に詰まり見つけ出すのが困難になるケースもありますので切れる前の定期的な交換が重要です。
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各部の状態を見るとインペラのみではなくオイルシールやOリングなども交換した方が良いと判断しました。
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オイルシールとポンプベースの間は塩がジワジワと溜まり、こういった部分から隙間ができます。
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新しいオイルシールに交換後
オイルシールの外周には液体ガスケットを塗り塩の侵入を防ぎます。
ドライブシャフトと接触する内側にはシリコン系のラバーグリスを塗って初期馴染みを良くし、羽根かじりを防ぎます。
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シフトのOリングも交換
こちらも同じラバーグリスを塗ります。
ケース固定ボルトは塩噛み防止処理をして組み上げました。
キャブレター及び燃料系の清掃
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次はキャブレターの清掃をしますが、なんだかこのボルトに違和感を感じます。
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そしてここにも違和感が。。。
ん?
キャブレターとインシュレーターの間にガスケット入ってない!
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やはりガスケットが入っていません。
この機種を触るのは初めてですが、こんな構造なわけない。
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あっ、インマニとインシュレーターの間に2枚入っています。
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ガスケット→ガスケット→インシュレーター→キャブレターという順番で組まれていました。
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ネオネットマリン様からダウンロードさせていただいた分解図です。
やはり組付け方を間違っています。
そして、最初に違和感を感じた取付けボルトには本来ワッシャーが入っています。
●28番の部品
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これが本来の組付け順番
●ガスケット→インシュレーターガスケット→キャブレター
ガスケットは二次エアーを吸わないようにするための重要な部品です。
二次エアーを吸うとアイドリングが不安定になったりエンジンの掛かりが悪くなったりとトラブルを招く要因となります。
たまたまトラブルにはなっていなかったようですがこれはちょっとまずいです。
取付けボルトのワッシャーが両方とも入っていなかったのも何故でしょうか。
恐らく片側を無くしてしまい、「両方入って無かったら分からないだろう」ぐらいの考えで抜いたのしょう。
もちろん、スナイパーさんはご自身でキャブレターを外したりはしていません。
海上トラブル後に他店さんが行ったクレーム作業でこの状態です。
あり得ない!
こんな凡ミス素人でもしませんョ。
過去にもこのショップさんでメンテナンスを行った船外機がこちらに入庫したことがありますが、組むボルトを間違っていたりボルト自体がついてなかったりと酷い状態でした。
他店に入庫すればどんなメンテナンスをしたか分かります。
お店選びは重要です!
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さて気を取り直してキャブレターの清掃をやっていきましょう。
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こちら、エンジン始動や主に低速域の調子に関わるパイロット経路になります。
細かな通路を強力キャブクリーナーで綺麗に清掃します。
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パイロットスクリューはメーカーでセッティング後にメクラで固定されてます。
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こんなところにストレーナーがついてますね。
詰まりも無く良好です。
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メインノズル・メインジェット・パイロットジェットの清掃
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ガスケット組付けOK!
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ちゃんとワッシャーも入れましたョ!
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燃料フィルターはほぼゴミも無く綺麗なもんでしたので確認のみとしました。
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メンテナンスの際に見落としがちなのがこの燃料タンク。
燃料タンクも定期的なチェックが重要です。
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恐らくずっと抜いてないであろうタンク側のコネクター
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固着しており全く抜けません。
タイプによってはコネクター式ではなくバンドで固定されているタンクもあり、そういったタイプは外す必要はありませんがコネクター式は隙間に塩が入ったりして中のOリングやボールを痛めます。
なので、定期的に外して接続部を清掃することも重要なメンテナンスなのです。
ちなみにこのコネクター交換になるとわりと高いです。
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ガチガチに固着していましたが何とか外れました。
やはり中は青かびが出てこんな状態ですね。
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中も綺麗になり良好。
スムーズに脱着できるようになりました。
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燃料タンクのフィルターです。
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燃料タンク内に溜まった汚れ
数年使うといつの間にかこういった汚れた溜まります。
タイミングベルトの交換
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このクラスになるとタイミングベルトがついています。
車は10万キロ走行で交換しますが、船外機は5年に1度の交換が定期ペースのようです。
使い始めて5年とのことなので今回交換することにします。
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エンジン稼働のタイミングを制御している重要なベルト。
タイミングベルトは切れてしまうと再起不能となり、場合によってはエンジンそのものがダメになります。
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古いタイミングベルト
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新しいタイミングベルト
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次回の交換は5年後ですね。
補足としてタイミングベルトは一部カバーを被っていますが、露出している部分もあります。
エンジンにマリンスプレーなどを掛ける場合、絶対にタイミングベルトに油分が掛からないようにしてください。
油分が掛かってしまうと劣化を早め耐久性が落ちてしまいます。
これだけは注意していただくよう宜しくお願いします。
その他の作業
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●サーモスタットの点検OK
塩の固着もほぼ無く良好でした。
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●各部グリスアップ
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●トリムタブ(アノード)清掃
ねじ山は塩がモリモリでした
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●ペラ軸グリスアップ
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●エンジンオイル交換
ドレンボルトは5/8サイズのレンチを使うと合いました。一般的なミリ規格のレンチでは16サイズで合いますがなかなか売ってません。
Amazonで販売している下記のメガネレンチセットは6mm〜22mmまで1mm間隔で揃っているという優れ物で価格もリーズナブルです。もちろん16mmも入ってます。
珍しいサイズのセットなので買ってみました。
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画像右上がそのメガネレンチのセットです。
精度はさすがにお高いメーカー品には及びませんが、ホームセンターに売っている安い工具セットに入っているやつよりは精度が良くオススメです!
9本セットでこの価格は凄い。サイズが揃っているので一つ持っておけば便利かと思いますョ。
●ギヤオイル交換
●プラグ交換
試運転
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【冷間始動】チョークを引いて2回で始動
【温間始動】1回で始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
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交換した部品
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ご利用ありがとうございました。