ゴムボくらぶです
広島県広島市のSさんからトーハツ2馬力のメンテナンス依頼をいただきました。
遠い広島からのお持ち込みです。
ありがとうございます。
再始動時にエンストすることがあるとのことです。
*当ゴムボくらぶでは依頼者様との信頼関係を第一に考えており、業務の透明性や入庫時の状態・作業内容の報告を目的として一部を一般公開しております(技術の漏洩防止として公開していない内容も多数ございます)
型式:3BV
製造年月:令和2年3月
トーハツ2馬力の外部タンク仕様・エンジンが止まる原因は?【広島県広島市・Sさん】
Sさんご自身で外部タンク仕様にされたとのことです。
綺麗に作られてます。
2馬力の時は私も外部タンク仕様で使ってましたが海上給油をする必要が無いのでかなり快適でした。
しかし外部タンク化はマイナス面もありそのことについては後ほど説明します。
シフトレバーの動きは現状固くはありませんでしたが、オーバーホールをご希望されてますのでエンジンを下ろしてその他のメンテナンスも行います。
不調の有無に関わらず2~3年に一度エンジンを下ろしてメンテナンスするのがBESTです。
年製のわりには塩が多いです。
清掃して組みましょう。
サーモスタットも塩でこびりついてます。
動作確認します。
オッケーです。
塩まみれでしたが清掃すればこの通り綺麗になります。
ケース内部も塩が溜まってますので綺麗に清掃して組みます。
シフトレバーは固くなる前なら難なく抜けます。
固くなってから抜くとどうしても内部に傷が付きますので、2~3年に一度定期的にオーバーホールをするのがベストです。
グリスは入っていますが。。。
塩も徐々に浸透してます。
構造上、Oリングの位置までは塩分が入ってしまいます。
塩を落として塩分が入り難くくなるよう対策をして組みます。
こういったことは日々研究してますョ。
ウォーターパイプグロメット
排熱で劣化し易い部分なのでバラした時はだいたい交換コースです。
キャブレターの清掃
フロートチャンバーのガスケットは劣化してますので交換します。
さて、冒頭に書いた「再始動時にエンストすることがある」
という症状ですがキャブレターにはエンストする原因は見当たりません。
トーハツ2馬力を外部タンク化すると快適になりますが85.5ccという小排気量なのでアイドリング状態だと外部タンクからガソリンを吸い上げるほどの負圧が発生しません。
走っている時は問題なく吸い上げ、止まっている時でもアクセルを吹かしてやれば吸い上げます(プライマリーポンプを揉んでも吸い上げます)
アイドリング状態ではキャブレターの中にガソリンがある間だけエンジンが掛かっているという状況です。
例えばポイントに着いて数分間アイドリング状態で掛けててエンジンを切ったとします。
そして移動する時にエンジンを掛けたら燃料供給が足りずエンストするということは十分に考えられます。
恐らくこれでしょう。上部タンクで使った時にはエンストしないという状況であれば間違いないです。
ちなみに本来トーハツUSAの燃料ポンプや負圧取り出しインマニは外部タンク化用に販売されているパーツではないため、流用して外部タンク化しているという状況です。
構成を煮詰めればギリギリアイドリングでも吸い上げるようにはなりますが基本的にはアイドリングでは吸い上げないと思った方が良いです。とは言え特性を理解して使えばそんなに不便には感じないと思います。
ギヤオイルを抜いてみると白濁してました。
ドレンを緩めた時に感じたのですが上も下も締め付けが緩かったです。
インペラ交換しときます。
交換時ですね。
インペラボルト
グリスアップされてたようですが、年数経ってその効果はほぼほぼ無くなってました。
アノードのねじ山も清掃をしておきます。
さて、白濁してましたのでオイルシールなども点検してみますが問題は無いようです。
状況的に見てドレンからの流入の可能性が高いです。
リークテストを行いましたが漏れはありません。
厳密に言えば内側から掛かる圧と実際海での外側から掛かる圧では状況は違いますが、一定の基準にはなると思います。
内側から圧掛ける方が漏れ易い状況なので、これで漏らなければまず大丈夫かと。
インペラ新品組付け。
始動性・吹け上がり共にに良好でOKです。
ご利用ありがとうございました。
使用5回のトーハツ2馬力が水没してしまいました【福岡県北九州市・Yさん】