こんにちは、ゴムボくらぶ(@gomubo_club)です
福岡県北九州市N村さんよりトーハツ2馬力の修理依頼を頂きました。
このトーハツ2馬力は、オークションにて未使用品ジャンクとして出品されていたものを落札したとのことです。
そして商品が届きいざエンジンを始動してみると、なんとかなりの不調状態。。。
不調の原因を探るべく見ていきましょう。
型式:3BV(MFS2B)
製造年月:27年7月
トーハツ2馬力・不調の原因を探る
エンジンオイルは受け取り後にN村さんが入れたとのことですが、量が少ないのでまずは適正な量まで追加します。
トーハツ2馬力はLowerラインを切っていなくても構造上、オイルの量が少ないと故障に繋がる恐れがあります。
2馬力船外機は特にエンジンオイルの量はシビアに管理しておきましょう。
現在の調子を確認するためにまずはエンジンを始動してみます。
すると、エンジンは掛かるものの回転数がかなり不安定です。
ん?
何故かチョークワイヤーの固定がズレています。
理由は分かりませんが、キャブの交換歴がある船外機だとは聞いています。
船外機各部の状態を見ると海で使用したりボートにつけて使用したような形跡はありません。
オークションなのでどういった経緯で未使用なのかは分かりませんが、ただの長期保管品というわけではなさそうです。
チョークワイヤーの固定を適正な位置に付け直して再始動してみると、今度はアクセルを開けるとエンストします。
わざとずらしてた??
キャブを清掃してみる
症状からしてキャブが一番怪しいので清掃してみます。
中を見ると汚れは溜まっていなく、内部の構成パーツも色褪せていなく新品キャブと変わらない状態です。
一通り清掃します。
しかし、この綺麗な状態を見ると清掃するだけじゃ直らないかもしれないと感じ、あらかじめスロースクリューのメクラも外しておくことにします。
そして、清掃が終わり組み付けエンジンを再始動してみるもやはり変わらない。
う~む
スロー調整をしてみます。
スロースクリューを調整しながら状態の変化を確認するも、アクセルを開けるとエンストするという症状は改善されません。
エンジンの掛かりは良い。
アクセルを開けてエンストするというのは、単純にアクセルを開けたその時の燃調が狂っているということです。
まずは薄いのか濃いのかを探ります。
アクセルをガバっと開けると開けるとパンッ!とバックファイヤーしたり、ストンという感じで止まります。
こういう止まり方ってガソリンが薄い症状なんです。
試しにエアーの取り込み口を半分ほどガムテープで塞いで取り込む空気の量を減らしてみます。
すると、多少改善されてアクセルを開けても何とか止まらなくなりました。
ということは、単純にガソリン経路の一部が詰まって流量が少なくなっていることが推測できます。
取り込む空気の量は正常で、ガソリンの流量が減ってバランス(燃調)を崩してるということです。
メインジェットやメインノズル、目に見えるところに詰まりはありません。
再度キャブを外して、インテーク内にあるアイドルポートをキャブクリーナー浸けにしてみます。
暫く浸けたあとにパーツクリーナーやエアーガンを使って小さな穴を清掃します。
これでどうだ!?
組み付けてテストしてみると。。。
ダメだ、直っていない。
黄色○の穴も赤○の穴も同じ経路で繋がっており、燃料とエアーが通っています(エアージェットからの空気とメインジェット横のゴムキャップの中からのガソリン)
メインジェットから吸い上げ、ゴムキャップのスロー系統へ流れる。
エンジン始動に影響するのは黄色○でアクセルを開けると赤○からも混合気が供給され、メインジェットからの供給に繋げます。
なので、アクセルを開けてエンストするのは赤○の3つの穴の一部(ガソリン経路)が詰まっていると推測されます。
スロー系統からキャブクリーナーを噴射してテストをするとアイドルポートからジュルジュルと出てきます。
問題なし。
エアージェットから噴射しても問題無くアイドルポートから出てきます。
こちらも問題なし。
ちなみにエアージェットの奥にあるメイン系統に繋がるエアー経路も問題ありません。
どうなってんの!?
各経路を単体でテストするもどこも正常なのに。
納得がいかず、合計5回清掃しましたが全く直らず。。。
キャブ本体に何かしらの問題があるとしか思えません。
仕方なくギブアップ。。。
別の正常なキャブをつけてテストしてみると絶好調でした。
こうして原因はキャブであることを確認をしてから、N村さんに状況を説明しキャブを交換することにしました。
左が不調キャブで右が新品キャブです。
キャブを交換したら当然絶好調となりました。
インペラボルトのグリスアップ&ドライブシャフトスプラインのグリスアップ
まだ塩噛みしていない状態なのでインペラボルトも安心して外せます。
今のうちにインペラボルトのグリスアップをやっておきましょう。
トーハツ2馬力のインペラボルトは高確率で塩噛みしやすいですので、新しいうちに1回外してグリスアップおくことを強くおすすめします!
【参考記事】
【悲報】ボルト全部折れました!トーハツ2馬力のインペラ交換【福岡県北九州市・N山さん】その1
耐水グリスでグリスアップしておくとだいぶ塩噛みを防ぐことができます。
27年製ですがインペラの状態も良好です。
インペラの分解方法は以下の記事をご参考に↓
【トーハツ2馬力】インペラ交換の詳しいやり方。塩噛みによるボルト折れに気をつけよう。
そして、ドライブシャフト先端のスプライン。
このスプラインも固着しやすいので耐熱性能があるグリスでグリスアップ必須です。
私はラバーグリスを使っています。
組み上げて試運転
【冷間始動】チョークを引いてアクセルはSTART位置で2回で始動
【温間始動】アクセルをRESTART位置にて1回始動
【吹け上がり】良好
交換した部品
ご利用ありがとうございました。
【他のトーハツ2馬力の記事】
【備忘録】myトーハツ2馬力メンテナンス・MFS2A/エンジン
船外機メンテナンスの目安時期ってどれくらい?定期メンテナンスすべき箇所。