ゴムボくらぶです!
福岡県古賀市Mさんからトーハツ2馬力のお持ち込みいただきました。

製造年月:27年6月
型式:3BV(MFS2B)
トーハツ2馬力・スターターロープが重い原因を探る

分解前にスターターロープを引っ張てみると、かなり重く全くエンジンが掛かる気配がありません。
スターターロープが重くても原因がロープやリコイル自体にあるとは限らなく、ロープを引っ張って可動する部分全てに原因がある可能性があります。
ロープを引っ張ればクランクシャフトやピストン、カムシャフトもロッカーアームもドライブシャフトも動きます。
まずはどこに原因があるかを探っていきましょう。

ニュートラルの状態でペラを回してみると全く回りません。
ドライブシャフトを抜いていきます。

ロアケースを落とそうとするもガチガチになっており全く抜けません。
去年メンテナンスした時には簡単に抜けたのですが何かこのあたりに原因がありそうです。
抜けないロアケースを抜くには
構造を考え。。。
頭を使い。。。
なるべく傷付かないように注力しながらやっていきます。

そして、あの手この手でほぼ傷付くこともなく抜けました

エンジンとドライブシャフトを分離するとクランクもペラも手で動かしてみると軽く動くようになりました。

こちら、エンジン側です。
作業の工程上、エンジンオイルは抜いています。

冷却水排水周辺には砂がかなりついています。

クランクケースヘッド(ドライブシャフトが入る部分)の中にも砂が入っています。
スターターロープが重かったのはこの穴の奥が塩害によって固着していたことが原因なのですが、更に砂まで混じっているのでもはやセメントに近い状態です。
塩害というのは時間が経ってから固着が始まります。
基本的には塩の蓄積なのですが、波が高い日とかエンジンと海面が近い状況などはこの部分が固着し易くスターンヘビーでリヤが海面と近い状態で走っているのもそれにあたります。
エンジンと海面が近いと排気口からの塩で排気バルブが固着するといったトラブルが起きる可能性もありなにかと塩害を受けやすいです。
極力海面とエンジンは距離があった方が得策ですね。

クランクケースヘッドを外した更に奥の部分にも砂が入っています。

クランクケースヘッド中央にはオイルシールが2重で入っており外側はOリングがついていますので交換します。

奥側のオイルシールはなかなか外し辛いです。

内部を清掃して綺麗になりました。
オイルシールの外周には液体ガスケットを塗って組みました
内側にはラバーグリスを塗ります

クランクケースヘッド下部には塩が上がらないように超耐水グリス

ついでにタペットも点検しましたがずれはありませんでした。
インペラの点検

去年インペラを交換しているんですが、その時にグリスアップ以外に更に塩噛み対策をプラスして行っていましたのでその効果を確認してみます。
ボルトのネジ山部分を確認してみると塩は全く噛んで無くついているのはグリスのみです。
完璧!
塩噛み・腐食のメカニズムから考えて、トーハツ2馬力は去年からこの方法で塩噛み対策を施工しています。

インペラケース内部にも砂が入っています。

去年インペラを交換しているので今回は点検のみとしますが水路を清掃しておきます。

ライナーの中にも砂があります。
砂を吸い込むとインペラのゴムが削れたり、塩に混じって砂も一緒に固まったりとエンジンにも良くないので、離着岸時にはなるべく砂を吸い込まないようにした方が良いです。
その他の作業

●あまり汚れは溜まっていませんでしたが一応キャブレターの清掃もしておきました。
●シフトレバーの分解再グリスアップ。
●グリスニップル中央のボールの動きが悪かったためグリスニップルを交換しました。
●エンジンオイル交換
試運転

【冷間始動】チョークを引いて2回で始動
【温間始動】1回で始動
【吹け上がり】良好
【検水】良好
●スターターロープも軽くなり始動は容易になりました
交換した部品

ご利用ありがとうございました
トーハツ2馬力のメンテナンス【福岡県北九州市・ちゃぬーさん】