こんにちは、ゴムボくらぶ(@gomubo_club)です
福岡県北九州市・Hさんから、マーキュリー2スト2馬力のメンテナンス依頼をいただきました。
2年前に購入したというマーキュリー2馬力。
エンジンの調子は良いとのことですが、アクセルワイヤーが錆びて劣化が進みかなり傷んでいます。
*本来マーキュリー2スト2馬力はレバー式のアクセルですが、前オーナーさんがスロットル仕様に改良済み。
その他も錆びがきているいる部分もあるので、できる限りリメイクすべく全体的にメンテナンスをしていきます。
型式:3AR
製造年月:17年1月
アクセルワイヤーの交換
見ての通りアクセルワイヤーが大変な状態になっており、いつ切れてもおかしくない状態です。
スロットルも傷んでいますのでワイヤーとセットになっている物を選んで一緒に交換しましょう。
マーキュリーをスロットルに仕様にする場合、バイク用のスロットルキッドを使用するのが大半で今までついていたものもバイク用のスロットルです。
Hさんに普段のエンジン始動状況を聞くとアクセルはSTART位置のまま難なく始動できているとのことでしたので(アクセル開度固定必要無し)バイク用のスロットルキッドを使用することにしました。
選んだのはコレ
キタコ(KITACO) マルチハイスロットルセット 750mm
を使用します。
このセットにした理由ですが、ワイヤーの吐出量を調整するアジャスターが2か所ついているので調整幅が広いためです。
アジャスターは通常1ヶ所のものが殆ど。
*吐出量とは外皮から外に出ているワイヤー部分の長さ
マーキュリーのスロットル化で使うアクセルワイヤー選びはキャブと吐出量が合うかどうかがキモなので、調整幅が広い方が良いのです。
キャブ側アジャスター
スロットル側アジャスター
黄緑丸の部分でも多少調整できます。
スロットル化加工済みですのでサクッとアクセルまわりを付け替えます。
スターターロープ固定の錆びたネジ類もステンレスにしました。
キャブ側アジャスター
スロットル側アジャスター
遊び調整も問題なく完了しました。
見違えるように綺麗になったアクセルまわりですが飛沫がモロに掛かる場所です。
このままだと再び錆びてしまい長くはもちませんので、塩害対策をすることにします。
錆びる鉄の部分を熱収縮チューブでガードします。
熱収縮チューブは通常1/2程度の収縮なのですが、この熱収縮チューブはなんと1/4サイズまで収縮するという優れもの。
内径16mmの熱収縮チューブなので、軸にある14mmのナットから最細部の5mmのワイヤー部分までこの1本で保護できます。
しかもチューブ内側には接着成分があり伸縮と共に密着するため、完全防水できるという効果絶大な商品なのです。
ネットではなかなか販売されていないようですが、ホームセンターで入手可能です。
ガッチリガードしました。
これでアジャスター部分からのワイヤー折れ防止にもなりますし、ワイヤー内部への塩分侵入も防げます。
キャブ側アジャスターにも同様に熱収縮チューブを被せました。
スロットルの固定ネジも錆びるのでコーキングでガード。
これで完璧です。
インペラ交換
トーハツ2馬力と同じく難関のインペラケース固定の4本のボルト。
塩嚙みがかなりやばかったですが、最大限のスキルを駆使して何とか折らずに外すことができました。
タップを立ててネジ山を綺麗にします。
アノードの塩嚙みも凄かったのでこちらもタップ作業をします。
アノードは磨きでOK。
こちらが今までついていたインペラ。
羽根が何枚か逆向いていますね。
インペラとシフトのOリングも交換しておきます。
ボルトにグリスを塗って組付け完了。
ドライブシャフトのスプラインにもグリスを塗っておきます。
キャブレターの清掃
吸い込み口周辺が結構汚れています。
キャブクリーナーとパーツクリーナーを使って清掃します。
キャブクリーナー漬け
本体内部も綺麗にします。Oリングやフロートバルブ等、ゴム製品は外して清掃しないとゴムが侵されてしまいますのでご注意を。
キャブクリーナーで清掃したあとにパーツクリーナーで洗浄。
チャンバーのガスケット交換。
シフトレバーのメンテナンス
シフトレバーを動かしてみるとちょっと動きが硬いようです。
外してグリスアップすることにします。
このシフトレバーはオールプラスチック製で折れやすいので、無理をしない程度にテコの原理で少しづつ外していきます。
シフトレバーを外してみるとグリス切れというよりもレバーの軸径がややキツキツな感じなのが主な原因のようです。
マーキュリー2スト2馬力はこの症状わりとあるようです。
グリスを入れただけだと、気持ち軽くなった程度にしかならないでしょう。
シフトレバー軸を耐水ペーパーで研磨し軸径を気持ち細くしてやります。
#320で研磨し、仕上げに#1000で慣らして完了。
硬めのシフトには柔らかいワコーズのラバーグリスがおすすめです。
組み付けるとちょうど良いぐらいの手応えになりストレス無い動きになりました。
ペラ軸のチェック
割りピンがなかなか抜けずに苦戦しましたが、ペラを外してみるとシャフトに結構な量のビニールが絡まっていました。
気付かぬうちに絡まってしまったのしょうね。
シャーピン曲がってましたので交換します。
シャフトにグリスを塗って組み付け。
その他の作業
燃料フィルターにゴミが溜まってましたので清掃しました。
塗装剥げが目立ちましたのでタッチアップで見栄え良く。
●ギヤオイル交換(ドレンガスケット交換2枚)
●プラグ交換
試運転
【冷間始動】チョークを使わずに1~2回で始動
【温間始動】1回始動
【吹か上がり】良好
【検水】良好
交換した部品
ご利用ありがとうございました。
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